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輸入切花専門商社 株式会社クラシック

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クラシック試験室から 第20回

2023.12.18

■もう一年を振り返る季節になりました…

クラシック試験室のキタです。

普段テレビを観ない私は、帰宅するとradikoでラジオを聴くことが多いです。月曜から木曜はTOKYO FMの「Skyrocket company(スカロケと略すそうです)」という番組が、ストレスなく聴くことができるので、いつもぼんやりと聴いています。番組の中では様々な人が、それこそたくさんのエピソードを紹介してくれていますが、自分のことを考えるにつれ、一年を振り返っても、会社と自宅(+買い物スーパー)L(エル)字型移動からはみ出ない状況で、来年は「もっと人間らしくありたい()」と思う今日この頃であります。

テレビといえば、たまにテレビのスイッチを入れてみると、時差というか、大袈裟に言えばタイムマシンに乗った様な感じを受けることがあります。私の知っている俳優さん、女優さん、歌手の方々がことごとく自分のイメージ以上に年を取っていて、自分も年をとっているんだなぁ…などと感じています。

そんなこともあって、来年は「もう少し人間らしく」いろいろな活動をして、楽しい時間をもっと増やしていこう! などと考えています。

 

 

■品質を考えるって?…

切り花における品質について少しだけ考えてみたいと思います。

切り花の下葉は適度にとり去られて流通するものですが、例えばカーネーションでは下葉を残した方が花そのものの鮮度の保持には有益です。しかし、小売店様などで水あげする際には下葉は邪魔になるものでありまして、あらかじめとっておいた方が親切だし効率的というようなケースに直面します。

お客様の立場に立って、お客様の業務効率を考えるのも、サービスの品質としてビジネスとしては欠かせない視点ですし、お花自体の状態を良く保とうと思う事もまさに品質…、同じ品質でも場合によってはどちらを優先すべきかとても悩ましい問題になってきます。

そんな難しい品質を管理するという仕事をしておりますが、今回はそんな視点で“染め”切花についてお話ししていきたいと思います。

 

 

■Tint by Classic

クラシックでは、カーネーションを中心に「輸入後、自社施設(設備)で染めた商品」を、海外の産地で染めた商品と区分する為に、Tint by Classic“として、商品のコンセプトをブランド化しています。商品名は「ティント ブルー」などと表記していますので、ティントシリーズとして少しずつ拡がりを見せている商品です。

海外の産地で染めた商品と区分する、つまり差別化するとした以上、どうやっているのか、いまだ試行錯誤している部分も多いので、どうやっていこうとしているのか、という事について触れていきたいと思います。

 

Tint by CLASSICより、Tintカーネーションを使用したアレンジ

 

良く染まっているって、なに?…

染めたお花って、少し前までは花業界の中では(自然物ではないことから)邪道と扱われていましたが、最近では、珍しいとか、インスタ映えするとかで、ありがたいことに好評をいただける商品になっています。

 そんな“染め”について「良く染まっている」という場合には、二つの意味があると思っています。

一つは染色剤が十分にお花まで届いていることを指す場合。もう一つは花脈(葉脈の様に花びらの中に張り巡らされている脈)だけが浮きだって染まるのではなく、全体が均等に色付くことを指す場合で、こちらは好みの問題もでてくるような気がしています。

前者、染色剤を十分にお花まで届けるために、いくつかの工夫点があり、その効果を確かなものとするために、トライand エラーな毎日となっています。

 

■染めに関する着目ポイント…

 

まずはしっかり染色剤を吸わせることが大事なので、十分に水下がりしたお花を使うことがポイントの一つになります。輸入切り花は、温度時間を管理してクールチェーンを保ち、梱包方法などで湿度にも気を使っているとはいえ、お花は「喉がカラカラに乾いた状態」で輸入されてきます。産地で刈り取った直後に染めることより、輸入した後で染める方がアドバンテージはありそうです。
 クラシックでも、自社施設で染めを始めたころは、輸入後、更にお花を乾燥させる工程を持っていました。

そして前回も少し触れましたが、侮れないのが「水切り」の効能です!水切りして染色剤を吸わせた場合、普通にお花を切った場合に比べて、時間が1/4程度になるという確認もしています。そして、これは「原液にそのまま2秒つけるだけで水揚げ時間を大幅に短縮できる」と謳っている水揚げ促進剤を使うよりも効果があります。

 さらには、染める時の温度管理。これもある程度高い温度の方が効率的という見解と、低温でゆっくり染めた方が仕上がりはキレイといった見解があり、どの温度が最適なのかという結論には至ってはおりません。これも、冒頭述べた品質って何だろうというところに関係しますが、ロスなく染めることを優先するのか、きれいに染めることを優先するのか、そのキレイの基準は何か…となかなか難問ですね。

 また、花の蒸散が多くなれば、吸い上げる力は増えてきますので、蒸散を増やすためにあれやこれや、これまたトライandエラーの日々です。

 そして、切り前です。弊社は切り前を固くして(成長する前の状態で)輸入するケースが多く、染色剤を吸わせても、成長と同時に単位当たりの色素が減ってしまうせいか、少し薄くなってしまうという悩みがあります。

 今まで書いてきたこと以外にも、染まりにくい現象は、色々と発生しますが、その理由は分からないものが多いというのが現状です。まぁ、いってみれば伸び代の大きい商品だという事だと思います。

 

 

■品質やお花の価値を高める活動…

 試験室は品質管理グループに所属する組織です。私たちはお客様により付加価値の高いお花とお花の購入にまつわる笑顔をお届けするために活動しています。私たちの活動の結果は、必ず社内の工程(プロセス)を変える、または追加するという事に結び付いています。一方で、しっかりと望まれる花を望まれるだけお届けする為の供給責任も果たしていきたいと考えていますので、限られてリソースの中でいつもせめぎあいをしているような状況です。(先に述べた、染め工程の輸入後の乾燥や、水切りについては、現時点では対応していませんが、お客様に喜んでもらえるクラシックの特徴としての位置づけを明確にしながら、必要であれば、工程として取り込んでいきたいと考えています)

 ついついたくさんのお花をお届けする中で、お客様にとっての価値を創り上げていくという事が疎かになりがちではありますが、そんな中、Tint by Classicは、お花や染色剤の選定など、担当者の遊び心だけではなく、社内プロセスの構築など挑戦する気持ちや熱意が生み出した、良い商品だと考えています。

 

 

■一緒に育ててほしい!Tint by Classic

ベースとなる品種に対して、同じ染色剤でも色の濃淡を区別する様なレシピづくりや、さらに発展させてお客様の要望に沿った色合いを一緒に創り上げるといった取り組みもできると考えています。

未だ、完成された商品というには伸び代も多いのですが、こうしたクラシックの開発に対する姿勢みたいなものもご理解いただき、一緒にTint by Classicを育てていただければ、こんなに嬉しい事はありません。

素敵なお花と一緒に、良い締めくくりとなる年の瀬をお迎えください!

花のある暮らしっく!

 


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