クラシック試験室から 第21回
■こどもの日~母の日~そして初夏へ…
クラシック試験室のキタです。
ついこの間まで、通勤途中の車窓からは鯉のぼりが見えておりましたが、このブログが掲載される頃は母の日も過ぎて、季節はさわやかな“初夏”のど真ん中だと思います。
我が家の軒先には、例年通りツバメが巣をつくり、私も例年通りのフン対策(ビニールシートを玄関にテープ貼り)を済ませました。ツバメには天敵が多く、厳しい生存競争にさらされており、多くの個体が命を落としてしまうという事で、平均して2年程度しか生きることができないそうです。昨年のツバメとはおそらく違うツバメ(もしかしたら2代目?)が我が家の軒先でせっせと巣をつくり子育てする様は、なんとも気持ちが和むものです。
天敵といえば、蛇もツバメのヒナを食べてしまうのですが、我が家にはその蛇も1匹生息している様で、時々ツバメの巣を狙っている場面に遭遇することもあります!そんな時はツバメの味方になって、ほうきなどで蛇をつついてあげる等、ツバメの巣の周りは(蛇にとって)心地よい空間ではないことを教え込んでいます。
いろいろな同居人(!?)と共存しながら、ツバメのヒナが一人前になる日を楽しみにしています!
■エントロピー増大の法則
唐突ですが、エントロピー増大の法則って聞いたことありますでしょうか?
エントロピー…何やら難しそうな響きですし、エントロピーの説明として「無秩序な状態の度合い(=乱雑さ)」を定量的に表す概念などと言われると、余
計分かりにくくなってしまいますよね。
そのエントロピー増大の法則というのは、「物事は放っておくと乱雑・無秩序・複雑な方向に向かい、自発的に元に戻ることはない」ってやつです。日常的にもよく目にする現象?で、覆水盆に返らずといったことわざでの例えもありますが、きれいに掃除した部屋も放っておけば汚れて乱雑になってくる…って感じが分かりやすいかと思います。
■品質を管理することにあてはめてみると…
さて、エントロピー増大の法則での気づき・教訓(?)を品質管理にあてはめて考えてみたいと思います。商品の鮮度を含めた品質を維持・向上させていく為に、様々な基準や・規約(ルール)を設けていくことが、品質管理グループの仕事の大きな部分にもなりますが、そうして作り上げた秩序をきちんと保っていく為の行動こそがとても大切になるという事を、しみじみと感じています。
世界中の産地との間で、色々なルールをつくり、リアルタイムで情報共有できるような仕組みをつくっていく為の努力は日々行っており、それはそれで苦労も多いわけです。しかしながら、良い商品をつくりあげる為には、そうした仕組みに沿った行動をし続けるという事を、ちゃんとチェックしていくことがとても大事になると考えています。
■品質をつくるって、なに?…
そうやって行動レベルが大切って話になると、やはり品質をつくるのは「とりもなおさず、私たち“人(ヒト)”」ってことになりますよね。仕組みは仕組みとして構築しながら、その運用状況を点検する為に、実際にその現場に行き(集まり)、定期的にひざを突き合わせて話し合うという事が、最終的にはとても大切なことの様に思えています。
産地の方々についても、ホントに様々な方々がいらっしゃいます。どうしても時差という問題が発生する海外産地との日常のコミュニケーションにおいて、ツールを頼らざるを得ないのですが、電話が苦手(嫌い)でメールのやりとりを好む人、逆にメール等はほとんど使わずに電話を主体とする人…等々、それぞれのスタイルに合わせていく必要もありますし、コミュニケーションの手段によって、伝わりやすいこと、そうでないこと出てきてしまうので、工夫のしどころですね。
そんなことも考えると、やはり「実際にお会いしてface to faceでお話しする事」の重要性は際立ってくるのではないでしょうかね。(コロナが収まって、やっとこんなことが言えるようになりました…)
■(偉そうに)クラシック社員としての心構え…
産地の方々とお話ししていく上で、クラシック社員、とりわけ仕入れを担当する社員にとって何が大切かって話になってきます。
誤解を恐れずに、極論をいえば、「言葉が通じて、貿易業務の知識がそこそこあれば、仕事をしていくことはできてしまう」と思っています。その中で「切り花輸入の専門商社」の仕入れ担当者としてのセンスをきらりと光らせるためには、やはり花に関する知識(できれば栽培レベルまでの知識)があると良いのでしょうね。仕事をしながら身についていくものでしょうが、必要性を強く感じている人と、そうでない人ではやはり違いはできてきてしまうような感じがしています。…当たり前すぎる話ですかね。
■サプライズ!
話は脱線しますが、お客様に対して、新たな提案をするためには、品種の探索・開拓という事も必要になりますね。種苗メーカーさんの展示会など、クラシックの仕入れ担当社員は積極的に参加しておりますが、種苗メーカーさんはどうしても生産者目線でのアピールが強くなってしまうので、消費者目線で、この品種はこんな感じになりますという、切り花レベルでの紹介などしてもらえると、もっと日本のお客様の楽しみ方の幅も拡がってくるように 思うのですが…
さらに話を脱線させていきますと、脳科学者のグレゴリー・バーンズ氏という方が、普通の水とその人の好物のジュースを用意し、口に注入する際に予測できるタイミングで注入する場合とできない場合で区別して、脳の反応を見たそうです。その人の「好きなもの」に強く反応すると予想されていましたが、飲み物が「予想外のタイミングで」注入されたときに脳が最も強く快感を示したという結果になったそうです。
サプライズのあるギフト、今まで見たことない花との出会い…そんなことを演出できたら嬉しいなと思ったりしています。
■ちょっとうれしい話からの教訓
ある国で生産している花について、定期的に品質状況を観察しているのですが、ここのところ品質が安定してきたという結果が出ており、嬉しく感じています。
要因を探ると、摘心(ピンチ)するようになったという事でしたが、ピンチは手間もかかるという事で、かつてその道の権威の方から「必要ない」とのアドバイスもいただき止めていたものを復活させたという事です。
この事例から、やはり基本が大切ということと、「アドバイスを受けたので、まずは実行してみる」というところまでは良いのですが、ピンチを止めるという冒頭のエントロピー増大を自ら作り出した時は、特にその後のフォローが大切という教訓にもなるのではと感じています。OYAS(おもいつきでやってみてあとはしらんがな…)からPDCAのサイクルにしていくことが大切ではないかと… <OYASは思い付きの造語です、悪しからず>
世の中で論理思考、クリティカルシンキングなどと言われますが、誰が言ったにしろ、なぜ?本当に正しい?そもそも…と言った裏付けを掘り返すような考え方や、行動の振り返りをする習慣もつけていきたいものです。
■今日が人生の初日
品質を維持・向上する為に、仕組みや規律を継続させることの大切さに触れてきました。三日坊主ではなく、継続は力という事が本当に重要だと思っています。
継続ということに関連して、場所は奪われたら取り戻すことはできる、でも時間は取り戻せないなどと言われます。でも時間に関しても「今日が自分の人生で一番若い日」「今日が人生の初日」と考えて、良い事は忘れずに飽きてもやり抜く!ってことを実践できるようにしたと思います。
初夏に向けてカツオのたたきが美味い季節になっています。一輪の花を眺めながら楽しみたいものです。
花のある暮らしっく!
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