CLASSIC スタッフブログ Vol.199
このコーナーでは、クラシックの社員が自分の仕事を通じて気になったこと、面白かったこと、お客様にお伝えしたいこと…などなどを気ままに発信していきます。
今週のブログは営業本部から西森がお届けします!
どうぞお楽しみください!
営業本部 西森です。最近我が家ではベランダで水連鉢にメダカを飼い始めました。
毎朝メダカたちを見ては癒されています。さて今回は、過去の仕事の経験などを振り返ってみます。
切り花流通の仕事をする上で、品質クレームという問題を避けて通ることはできませんが、仕入れ先との品質クレームを通して感じたことなどを思い出して書きます。
■品質クレーム(熱意)
かれこれ30年以上も前の話。当時は、母の日向けのカーネーションをオランダや地中海沿いの国スペインやイスラエルから輸入していました。ある年の母の日イスラエルから仕入れたカーネーションで大きな品質問題が起こりました。納め先のお客様からはクレーム続出。当時私の上司は、シンガポール出身でした。その上司は、大きく深呼吸したあと電話をとり輸出元にコールし、品質問題が起こっていることを伝え始めました。小さな品質問題ではありません。被害甚大です。相手の対応がそっけなかったのでしょうか、上司は話していくうちに、みるみる顔を紅潮させ、強い言葉に変わっていきます。“俺の人生でこんなひでえ花はみたことがねえ!”(言葉が荒っぽくて失礼、日本語にするとこんな雰囲気だったのです)とにかくしゃべりまくり、まくしたてました。横で聞いていた私が委縮するくらいの勢いです。この勢いに気圧されたのか、先方も非を認め、その後の対応も決まりました。このとき、(美しい言葉かどうかはともかくとして)熱を込めて伝える姿勢ということの大切さをまざまざと見せられました。一方、私はこんなこととても真似できないなと思いましたが、こうやって今も記憶に刷り込まれているから良しとしましょう。
この上司、交通違反で警察に止められたときも、英語でまくしたてて、おまわりさんのやる気をそいで無罪放免になることがありました。使いどころが間違っているように思いますが、もう時効だから良しとしましょう。
■品質クレーム(他山の石)
これも古い話ですが、コロンビアで取引先農園を回っていたとき、ある日本の輸入会社のことが複数の農園で話題に上がっていました。品質問題があって、農園に大量のクレーム(損害賠償)を出してきたようでした。みな、一様に不当なクレームだと怒っていました。各農園同士が情報交換をしており、各農園に送られてきたクレーム写真が同じことがわかったのです。これでは、疑われても致し方ありません。クレームの内容が本当であったかどうかはわかりませんが、嘘だと思われてしまえばそれまでです。会社も担当者個人も評判を落とすでしょう。各農園が私にその話を聞かせたのは、“俺たちはちゃんと見ているぞ、いい加減なことをするなよ”と警告していたのかもしれません。他山の石として心に刻んだことは言うまでもありません。
■品質クレーム(尊敬できる人)
20数年前まではオランダから切花を多く輸入していました。盆や彼岸向けのSPマムを大量に仕入れ、販売しました。あるもの日で大量に腐りの問題が起こりました。輸出業者とのクレーム(損害賠償)交渉が始まり、こちらは、できるだけ多くのデータ、証拠をもって報告書を準備し、クレームしました。かなりの額であり、受ける側の輸出会社にとっても、大きな決断を迫られたと思います。担当者ではらちが明かず、役員が交渉に出てきました。この役員は、紳士で、私たちの話をしっかりと聴いてくれました。話の途中異論をさしはさんだりせず、じっくりと最後までこちらの話を聴いてくれました。すべての話をしっかり聴いたうえで、彼は、迷惑をかけて申し訳なかったと謝罪し、当社の要求したクレーム金額を満額で受けてくれました。海外の特にビジネスの場で謝罪するということは少ないですが、この人ははっきりと謝罪してくれたので印象に残っています。当時の私たちの企業規模と比べるとこの輸出会社は大きな企業で、対応してくれたその役員は長い経験のあるベテランでした。当時の私などは、彼からみれば駆け出しの若造でしたが、とても丁寧に対応してくれました。感情的で攻撃モードで文句を言う私の言葉を、一つ一つよく受け止め理解してくれました。それ以降、私はこの人を深く尊敬しています。仕事で行き詰まると、この人ならば、どう対応するだろうかと考えるようにもなりました。クレームがきっかけで尊敬できる人に出会えた稀有な例です。
■品質クレーム(信頼)
品質に関連することを話す際、供給者側(農園)は、警戒感マックスで対応する場合が多くなります。うっかり品質問題のリスクが自分たちのやり方にあることを認めると、顧客からクレーム(損害賠償)されかねないからです。世界を見渡せば、自分たちの販売がうまくいかず損が出て、それを補填するために、農園に言いがかりをつけて、商品代を払わないというような人たちも一定数います。そういう人たちから身を守るために、業務内容をあえて詳しく明かさないということもままあります。とはいうものの、そのレベルでの関係では良い仕事はできません。お互いに信頼して、それぞれの仕事の内容や情報をオープンにできる関係にすることが、スタートだと考えています。
■仕入れ先はパートナー
農園は私たちにとって、仕入れ先であると同時に互いにパートナーだと考えています。将来のビジョンを共有し、ときには互いにリスクも取り合いながら、一緒に良い商品作りと安定供給をすすめていきたいと考えています。長い時間をかけて、徐々にそのような考えに賛同いただける仕入れ先様が増えてきました。本当にありがたいことです。
今後も驕ることなく、自分自身や会社を信頼してもらえるよう、誠実でありたいと思います。 花のあるクラシック(暮らし)のために。
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